I言語パターン、II知覚パターン
ジョン・グリンダー、リチャード・バンドラー、ジュディス・ディロージャ著
訳・浅田仁子 春秋社 (各3300円税込み)
著名な英・仏語翻訳家であり友人である浅田仁子さん(HGプレミアム会員)から昨年エリクソン催眠の翻訳に取り掛かっている旨お話はうかがっておりました。先日そのお仕事が「ミルトン・エリクソンの催眠テクニック I&II」として出版の運びと成り浅田さんからご送呈いただきました。この偉大な本の全貌ををこの場でご紹介することはとても難しいことですが、私自身考えることも多くありましたので拙文を書かせていただくことにしました。
著者はNLP開発者として知られるジョン・グリンダー氏とリチャード・バンドラー氏であります。(IIではジュディス・ディロージャ氏が加わっておられます。)
二巻本のボリュームもさることながらその内容の濃さと綿密さに圧倒されたというのが私が本を手にした正直な感想でした。グリンダー氏との根気強いやり取りをどれほどご苦労してなさったことか、浅田さんのプロ魂を見せられたと申しましょうか、その熱意がこちらに伝わってくるような重みを感じました。
近年日本でもNLP(神経言語プログラミング)を学ばれる方が増えております。そのNLPを共同開発したのがこの本の著者グリンダー、バンドラー両氏なわけですが、お二人がエリクソンをはじめとした3名のトップセラピストの認知、行動、パターンのモデル化に取り組み、そのワークを土台としてNLPの基礎を形成したことは多くの皆様がご存知のことかと思います。
中でもエリクソン催眠については、エリクソン氏ご本人が「自分がどうしているかは理解しているが、どのようにやっているかはうまく説明できない。」とおっしゃっておられるように、「Uthilization(利用できるものはなんでも使う)」方法であり、自らの技法を体系化を好まれないとされてきました。「伝説のセラピスト」「魔術師」といった数々の賛辞の言葉がその技法を本にまとめる困難さを表しているといえると思います。ましてそれを日本語に翻訳することがどれほど大変なことであるかも私たちは容易に察することができましょう。
NLPを学んでおられる方々には伝説となる本の誕生でもあります。しかしながらこの本はコミュニケーションの本でもあるのです。カウンセリングやコーチング等、人と携わるお仕事をなさっておられる方には学ぶところの多い本でもあるといえると思います。
はからずも、翻訳をなさった浅田仁子さんご自身が訳者あとがきの中で次のように述べておられます。(一部抜粋)
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NLPは今もなお進化を続け、治療から教育、ビジネス、自己啓発へとその適応の場を広げている。共通項はコミュニケーション、すなわち他者とのコミュニケーション、自分自身とのコミュニケーションである。それゆえにこそ本書には「コミュニケーター」という表現が多々出てくる。エリクソンが使った様々なパターンを理解し、学び、自分のものにすることは、コミュニケーションに関わるすべての人々、すなわちコミュニケーターにとって、また人間がコミュニケーションを介して生きる動物であるとするならば、あらゆる人々にとってそれぞれの形で役立つものだと信じている。(抜粋ここまで)
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アドラー心理学を学びに集っておられるヒューマン・ギルドの皆様にもセッションやエピソード部分など天才セラピストがどのようにクライアントに関わるのか面白く、興味を持って読んでいただけると思います。いわゆる「なんともならない人」が「なんとかなってしまう。」。その過程を知ることができ分析もされている、エリクソン催眠マジックを微に入り細にわたり味わえるのはこの翻訳本ならではの魅力です。
最後にこの本がなぜ今なのか?
たとえどんなことでも学ぶということ、そして自分が発信する側になるということ。そのためには誰にどのような形で学ぶのかということ。「メンターを選ぶ際には直感の警告に従え」。グリンダー氏の巷に氾濫する学びの基礎をないがしろにするものへの警鐘を感じつつ、自分自身が学び続け発信し続けるためには?と自らへの問いかけにもこの本がなったことを付け加えさせていただきます。
素晴らしき友である浅田仁子さんへ愛と感謝と尊敬をこめて 高橋直子
この記事はヒューマン・ギルド ニュースレター6月号に掲載されます。


